テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」

Book review

テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」 蛯原 健 (著)

Twitterで流れてきて、多くの経営者の方がグットレビューしていたので私も読んでみました。

  • 蛯原 健という人物
  • 寡占しきったインターネット産業
  • 2017年以降、インターネット産業は成長していない!
  • インターネットの外

蛯原 健という人物

【NewsPicksのプロフィール参照】
1994年 横浜国立大学 経済卒、㈱ジャフコに入社。以来20年以上にわたり一貫しスタートアップの投資及び経営に携わる。
2008年 独立系ベンチャーキャピタルとしてリブライトパートナーズ㈱を創業。
2010年 シンガポールに事業拠点を移し東南アジア投資を開始。
2014年 バンガロールに常設チームを設置しインド投資を本格開始。
現在シンガポールに家族と在住し、事業拠点はインドと東京の3拠点。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)

ベンチャーキャピタリストとして世界の数々のスタートアップを見てきている方のようです。本著でもテクノロジーを切り口に世界と日本の現状を客観的に書かれています。

寡占しきったインターネット産業

著者はインターネットの革新は2つだと述べています。

1つは広告産業。広告を閲覧するための道具をAppleが作り、それを表示させるためのサーバーをアマゾン(AWS)、Microsoft(Azure)が提供するという産業構造。

そしてもう1つは、広告収入の撒き餌であるコンテンツ産業。SNS(Facebook)や検索エンジン(Google)がユーザーを囲い込み、Eコマース(Amazon)を通じて物を買わせるという産業構造です。

孫さんもソフトバンクの決算発表でインターネットによる革新は広告と小売だと言っていましたね。この辺りはやはり共通の認識のようです。

その上で、そうして成長しきったインターネットの市場をAmazon、Microsoft、Google、Facebook、Apple、アリババ、テンセントが寡占しているという見方をされています。

2017年以降、インターネット産業は成長していない!

2007年iPhoneが発売されてからアップルの株価は18ドルから8.3倍の150ドルにまで成長しました。

しかし、2017年以降スマホの出荷台数は伸び止まっており、2018年秋から関係するITセクターの株価も下落傾向にあります。

GAFAだけを見ると一見まだまだ成長しているインターネット産業に思いますが、実は既に成長産業ではないというのが著者の見解のようです。

ここで問いとなるのが、世界の投資マネーはどこに向かっているのか?ということです。

インターネットの外

インターネットが既に成長産業ではないことは何となくわかりました。ではインターネットの次は一体何なんでしょうか。

著者曰く、それは「インターネットの外側」であると。

これまで直接インターネットと関わりを持たなかった医療、交通、物流、教育、製造等などのいわゆる既存産業がテクノロジーによって再定義する競争が始まっているということです。

これまでコードが書ければ誰でも億万長者になれるチャンスがあった時代から、
産業の構造、実情を理解し、ユーザー以外の行政や業界団体も巻き込む調整能力が必要な大人の戦いになってきていると指摘しています。

確かにこれから5Gによってインターネットの通信速度がより早く、大量に送れるとなるとIoTがもっと進化していくと思います。そうするとこれまでデータというものはスマホの中、つまり検索やアプリによってしか取得できていませんでした。
それがIoTによってスマホ内以外のデータが大量に蓄積されていくことになります。

データが大量にあるということはAIの出番です。そこから規則性のあるパターンを見つけて予測を行うことができるようになります。

日本ではあまり感じられませんが、現に世界のタクシー業界ではUber、Lyft、Grabによって爆発的なディスラプションが起きていますよね。

20年前からインターネットが広告、小売産業を変えたこと以上に、全ての産業がインターネットをより進化させたAIという最先端のテクノロジーに覆い尽くされようとしているのです。

しかしこれは悲観的なことではありません。インターネットが普及したことにより人々の生活が便利になったように、AIによる産業改革も同じように便利な生活を我々にもたらしてくれることは間違い無いでしょう。
そしてその便利は一度手にすると二度と不便な時代には戻れなくなり、それが人々の当たり前になります。

問題は現在の企業やそこに勤めている人たちです。巨大なAIの波にのみ込まれ、身動きが取れなくなるということは容易に想像がつきます。

本著ではインターネットの外のレースが始まった中でも、最も激しい震源地はモビリティと医療・ヘルスケアであると述べています。

今回ブログに紹介させて頂いたのはほんの前半部分です。
後半には世界の国々の情勢が非常に分かりやすい形で書かれています。

「テクノロジー思考」

これからの時代を生き抜く全ての人に必要な考えではないでしょうか。